ウィーンのさりげない住宅街に現れる魅力的な色合いの建築、それが「フンデルトヴァッサーハウス」です。芸術家フリーデンスライヒ・フンデルトヴァッサーの「直線を排除する」という思想が息づく、一度見たら忘れられない場所を紹介します。
📌 基本情報
スポット名 | フンデルトヴァッサーハウス(Hundertwasserhaus) |
所在地 | Kegelgasse 34-38, 1030 Wien, Austria |
アクセス方法 | ウィーン市内中心部からトラム1番またはO番でRadetzkyplatz下車、徒歩約5分 |
営業時間 | 外観見学は24時間可能(内部は非公開) |
入場料 | 無料(外観のみ見学可能) |
所要時間 | 約30分〜1時間 |
公式サイトリンク | Kunst Haus Wien |
📷 実際に訪れてみた感想
2023年9月中旬、快晴の午前10時頃に訪れました。 中心地からやや外れた住宅街に位置するこの場所に、突然として現れる鮮やかな色彩の建築。それが「フンデルトヴァッサーハウス」です。
建物全体は、直線を排した曲線的なフォルムと、赤・青・黄といった原色が大胆に配置されたファサードで構成されており、初見でも一目で強烈な印象を与えます。
筆者が訪れた時は観光バスも何台か停まっており、観光客が建物の前で写真を撮ったり、ガイドの話に耳を傾けたりしていました。人の数は多かったものの、皆が静かに芸術建築に見入っている様子で、落ち着いた雰囲気はしっかりと保たれていました。
時間帯的にも正午頃の太陽光が建物をくっきりと照らし、ファサードの陰影が美しく浮かび上がっていました。強い日差しにより色彩のコントラストが際立ち、とてもフォトジェニックな状態で、写真撮影には理想的なコンディションでした。



💡 おすすめポイント
🎨 色彩ゆたかな外覧デザイン
建物のファサード全体は、まるでパレットを無造作に塗ったかのような色の洪水。ピンク、ブルー、イエロー、オレンジなど、各色が隣り合いながらも絶妙な調和を保っており、訪れた瞬間に思わずカメラを構えたくなるほどのインパクトがあります。
直線を避け、緩やかなカーブと不規則な窓配置が立体的なリズムを生み出しており、まさに“歩くアート”のような建築です。
🌿 自然との共生
外壁や屋上には無数の木々やツタが植えられており、建物全体が植物と共に呼吸しているかのような印象を与えます。
枝葉が建物を包み込み、窓やバルコニーの一部と一体化している様子は、まるで森の中に家が生えているかのよう。都市空間でありながら自然と共存するという、フンデルトヴァッサーの哲学がそこには確かに息づいています。
🛍️フンデルトヴァッサービレッジ
ハウスのすぐ隣には、同じくフンデルトヴァッサーのデザインによる「フンデルトヴァッサービレッジ」があり、カフェやギフトショップが軒を連ねています。建物内の床は波打ち、天井には鏡やモザイク装飾が施されており、ここもまた非日常を感じさせるアート空間です。
販売されているアイテムもカラフルでユニークなものばかりで、建築だけでなくショッピングも楽しめるのが魅力。
筆者も実際にここで、フンデルトヴァッサーハウスが描かれた鮮やかなマグネットと、フルカラーで建築の魅力を深掘りした書籍を購入しました。どちらもデザイン性が高く、お土産としても、自宅でアート気分を味わうアイテムとしてもおすすめです。



⚠️ 注意点・ベストシーズン・裏技
- 現在も市営住宅として人が暮らしているため、内部の見学はできません。見学はあくまで外観のみとなりますが、それでも十分に建築の魅力を味わうことができます。
- 観光のベストシーズンは春から秋にかけて。特に初夏には建物を覆う植物が青々と茂り、自然との共生というテーマをより強く感じられるタイミングです。紅葉の時期には外観の色彩と調和し、また異なる趣を楽しめます。
- 写真撮影に適した時間帯は午前10時〜11時頃。太陽の角度がちょうどよく、建物全体に光が当たり、色彩や陰影が際立って撮影できます。混雑を避けるなら、朝一番か昼食時間帯が比較的おすすめです。
👥 どんな人におすすめ?
- 独創的なデザインや色彩感覚に惹かれるアート好きの人。芸術的なインスピレーションを求めて旅するタイプにとっては、建築自体が一つの作品として楽しめる場所です。
- 建築や街並みの写真を撮るのが好きな人。フンデルトヴァッサーハウスは、時間帯や季節によって表情が変わるため、何度訪れても違った写真が撮れる魅力があります。
- 定番観光地ではなく、少しユニークな視点で旅を楽しみたい人。静かな住宅街の中にある芸術建築を訪れる体験は、いわゆる観光旅行とは一線を画した記憶に残る旅になるでしょう。
🏨 周辺スポットやおすすめの宿
🎨 クンストハウス・ウィーン
フンデルトヴァッサーが自ら設計した唯一の美術館であり、彼の世界観を存分に体験できる場所です。館内には、絵画や建築模型、環境思想に関する展示などが豊富に揃っており、視覚だけでなく思想面からも彼の芸術を深く知ることができます。建物自体も波打つ床や色とりどりのタイルが敷き詰められており、まさに一歩踏み入れた瞬間から異世界のような感覚に包まれます。
公式サイトはこちら:Kunst Haus Wien 公式サイト
☕ カフェ・フンデルトヴァッサー
クンストハウス・ウィーンの1階に併設されているカフェで、館内見学後の休憩にぴったりのスポットです。内装も建築同様にユニークで、曲線を活かしたインテリアに囲まれながら、コーヒーやウィーン風スイーツをゆったり楽しめます。天気の良い日は中庭のテラス席もおすすめで、静かにアートの余韻に浸れる贅沢な空間です。
カフェについての詳細も、Kunst Haus Wien 公式サイトから確認できます。
📝 まとめ
ウィーンにあるフンデルトヴァッサーハウスは、単なる建築物の枠を超えた、色彩と思想が融合したアートそのものです。建築の概念を覆すような曲線のデザインと自然との調和、そして見る者の感性を刺激する色づかいが、一瞬で訪れる者を魅了します。
所要時間は30分から1時間程度と比較的短いため、時間が限られた旅程の中でも気軽に立ち寄れるのが嬉しいポイント。しかもその短い滞在でも、まるで美術館を訪れたかのような深い満足感が得られます。
写真好きにとっては、刻々と変わる光と影の演出が撮影意欲をかき立て、アート好きにとっては建物自体が語りかけてくるような感覚を味わえるはずです。観光名所がひしめくウィーンの中でも、特に印象深く、心に残る場所として強くおすすめしたいスポットです。