スウェーデンの首都ストックホルムから少し離れたマーラレン湖畔に佇むドロットニングホルム宮殿。現王室の公邸でありながら、一般公開されている世界遺産でもあります。
筆者は5月初旬、澄みきった空気の中を訪れました。今回は宮殿の外観から内部、庭園、そして衛兵交代まで、現地で撮影した14枚の写真とともに、歩くようにご案内します。
📌 基本情報
項目 | 内容 |
---|---|
名称 | ドロットニングホルム宮殿(Drottningholm Palace) |
所在地 | Drottningholm, 178 02 Drottningholm, Sweden |
アクセス | ストックホルム中心部(シティホール前)からフェリーで約1時間、または地下鉄Brommaplan駅からバスで約15分 |
営業時間 | 夏季 10:00〜17:00(季節により変動) |
入場料 | 宮殿内部 150 SEK(2025年時点) |
所要時間 | 約2時間(庭園含む) |
公式サイト | https://www.kungligaslotten.se/ |
📸 2. 訪れてみた感想
2-1. 到着:湖畔に佇む宮殿の第一印象
ストックホルム中央駅から郊外電車に乗り、終点でバスに乗り換えました。
住宅街を抜け、湖が見え始めたころ、車窓の先に淡い黄色の建物が現れました。
それがドロットニングホルム宮殿です。
バスを降りると、空気がすっと冷たくなりました。
風は弱く、湖面は驚くほど静かです。
水面に映る宮殿を見ていると、まるで風景の中に吸い込まれるような感覚になります。
宮殿までは湖沿いの並木道が続き、歩くたびに視界が開けていきます。
庭園越しに見える建物の輪郭が少しずつはっきりしていくのが印象的でした。
噴水や芝生の配置は整っていて、遠くからでも対称性の美しさがわかります。
華やかさよりも静けさが際立つ場所で、
“王室の住まい”というよりも“穏やかな生活の続く場所”という印象を受けました。


2-2. 華麗な「王妃の間」で感じる知の香り
宮殿の中に入ると、まずその明るさに驚きました。
外観の落ち着いた黄色からは想像できないほど、内部は白と金を基調とした華やかな空間です。
どの部屋も天井が高く、装飾は細かく、それでいて全体の印象は上品でした。
王妃の間では、大きな暖炉の上に寓意画が飾られ、壁一面に鏡や絵画が並んでいました。
豪華でありながら、どこか知的な空気が漂っています。
光の入り方が計算されているのか、時間帯によって部屋の表情が変わるのが印象的でした。



通路には白い大理石の像が並び、静かな空間の中で淡い光を反射していました。
外から差し込む自然光が像の輪郭を際立たせ、まるで息づいているようにも見えます。
階上のバルコニーから庭園を見下ろすと、左右対称に整えられた並木と噴水が一望できました。
上から眺めると、庭の幾何学的な構成が一層はっきりとわかります。
この秩序だった景色を前にすると、王室の美意識と計算された感性の両方を感じました。



📸 2-3. 将軍の間:勇壮な肖像が並ぶ空間
王妃の間を抜けて奥へ進むと、空気の色が少し変わりました。
壁には歴代の将軍たちの肖像画がずらりと並び、部屋全体が落ち着いた重厚な雰囲気に包まれています。
それぞれの肖像は大きく、人物の表情がはっきりと描かれていました。
豪華な鎧や軍服、背後に描かれた戦場の風景が、彼らの生きた時代を感じさせます。
絵の中の視線がこちらを追ってくるようで、思わず立ち止まってしまいました。
天井の装飾やカーテンの深い赤が、部屋全体を引き締めています。
華やかさよりも力強さが印象に残り、宮殿の中でも特に印象的な一室でした。
王室の優雅さと並んで、このような“戦いの象徴”がしっかり残されていることが、スウェーデンらしいと感じます。


📸 2-4. 宮殿を見守る衛兵と中庭
館内を出て中庭に出ると、まぶしいほどの光が差し込んでいました。
整えられた石畳の中央には噴水があり、その周囲を観光客がゆっくりと歩いています。
奥に見える宮殿の外壁は淡い黄色で、青い空との対比がとてもきれいでした。
衛兵が交代の準備をしているのが見えました。
まっすぐ立った姿勢と無駄のない動きは、まさに“王宮の顔”という印象です。
観光客がカメラを向けても動じることなく、一定のリズムで歩みを続けていました。
静かな庭園の中で、彼らの靴音だけが響きます。
その音が宮殿の壁に反射して、まるでこの場所全体が“見守られている”ように感じました。
優雅でありながら、どこか緊張感のある空間です。
噴水の水しぶきが光に反射し、宮殿の正面をさらに際立たせていました。
ここに立っていると、王室の生活がいまも息づいていることを実感します。



⚠️ 注意点・ベストシーズン・裏技
ドロットニングホルム宮殿を訪れる際は、まず開館スケジュールの確認が欠かせません。
オフシーズン(10月〜3月)は営業時間が短く、平日に休館する日もあります。
また、スウェーデン王室の公式行事や国賓接待の際には、一部エリアが急に立入禁止になることもあるため、公式サイトで最新情報を確認しておくと安心です。
内部見学では、個人利用に限り写真撮影が許可されています。
ただし、フラッシュ・三脚・動画撮影は禁止。
展示品保護や反射対策のため、自然光のみで撮影するルールが徹底されています。
部屋ごとに警備員が常駐しており、撮影マナーにはとても厳しい印象を受けました。
筆者も53枚ほど撮影しましたが、すべて手持ち・フラッシュなしで行い、問題なく許可されました。
屋外では、庭園の撮影が圧倒的におすすめです。
特に噴水や左右対称の並木道は、午前中の光が柔らかい時間帯がベスト。
午後になると観光客が増え、人物が写り込みやすくなります。
人を入れずに撮るなら、開園直後の時間帯(9〜10時頃)を狙うのが裏技です。
また、湖側から撮影した宮殿の姿も美しく、フェリーの桟橋付近が人気の撮影スポット。
時間に余裕があるなら、帰りだけフェリーに乗るのも一つの楽しみ方です。
風が穏やかな日は、湖面に映る宮殿がはっきりと見え、絵画のような一枚が撮れます。
ベストシーズンは、5月下旬〜8月中旬。
緑が最も濃く、噴水も稼働しており、光と影のコントラストが美しい時期です。
逆に冬は雪化粧の宮殿も魅力的ですが、風が強く、庭園の一部通路が閉鎖されることもあるため、防寒対策を万全に。
アクセス面では、筆者のように電車+バスで訪れる方法が最も効率的です。
所要時間は約40分ほどで、ストックホルム中心部からの移動もわかりやすいルートです。
フェリーは天候によって運行中止になることもあるため、時間に余裕のある日の利用がおすすめです。
👥 どんな人におすすめ
ドロットニングホルム宮殿は、静けさの中に美しさを見つけたい人に向いています。
観光地として有名ではありますが、ストックホルム中心部から少し離れているため、団体客の喧騒もなく、ゆっくりとした時間が流れています。
建築や装飾に興味のある人には、内部のデザインが特におすすめです。
王妃の間の繊細な装飾や、将軍の間の重厚な肖像画の並びなど、時代ごとに異なる芸術様式が同じ建物の中で体験できるのは大きな魅力です。
また、カメラが好きな人にも楽しめる場所です。
室内では光の入り方が計算されており、自然光だけでも十分に美しい写真が撮れます。
外に出れば湖や庭園の構図が整っていて、どこを切り取っても絵になります。
ゆっくり歩くことが好きな人にも向いています。
宮殿の庭園は想像以上に広く、対称に配置された並木道を歩くだけでも小さな旅のような感覚になります。
観光というよりも、穏やかな散策を楽しむ一日を過ごしたい人にぴったりです。
最後に、王室や歴史に関心のある人なら、この場所の背景を調べながら訪れるとより深く楽しめます。
いまも国王一家の公邸として使われているため、単なる博物館ではなく、“生きた宮殿”を体感できる貴重な場所です。
📝 まとめ
ドロットニングホルム宮殿は、華やかさよりも静けさが印象に残る場所でした。
外観の美しさだけでなく、内部の部屋ごとに異なる雰囲気があり、どの空間にも人の気配や暮らしの痕跡が感じられます。
王妃の間では繊細な装飾と柔らかな光が印象的で、将軍の間では重厚な肖像画が空間に力を与えていました。
外に出ると、衛兵の姿と静かな中庭がこの宮殿の時間の流れを象徴しているように思えます。
観光地としての派手さはありませんが、ゆっくりと歩きながら建物の表情や光の変化を眺める時間は特別です。
訪れる季節や時間帯によってまったく違う顔を見せてくれるこの場所は、何度でも足を運びたくなるような魅力を持っています。
🎟 ドロットニングホルム宮殿をもっと気軽に楽しむなら
ストックホルム中心部から宮殿までは、電車とバスを乗り継いで行くこともできますが、慣れない土地での移動に不安を感じる方は、現地発のツアーを利用すると安心です。
Klookでは、ドロットニングホルム宮殿や市内主要スポットを効率よく巡るプランが用意されています。
自分のペースで回りたい方にも、ガイド付きで歴史を深く知りたい方にも、それぞれに合ったスタイルが選べます。
ストックホルムのツアー・チケットを探す(Klook)
ガムラスタン散策、ミュージアム巡り、運河クルーズなど、人気アクティビティを事前予約してスムーズに観光。
▶ ストックホルムの体験を予約する